個別性への取り組み

One & Only 10

カラカル - 強皮症と診断され友人と交流する気分になれなくなった75歳女性 –

「これからも付き合えるように」

⑴ カラカルさんは仕事の都合で引っ越して来て以来1人暮らしを続けている。 外交的な性格で、普段は家事を済ませたあと、カラオケ喫茶に通い、友達と音楽を楽しんでいた。 しかし、75歳になって手がむくむようになったり、洗い物をしていると指先の色が一瞬で変わるようになったりした。 病院で検査をしてもらったところ、強皮症と診断された。 その後、薬を飲み始め、手を冷やさないように過ごすことで症状は少しずつ安定していた。 しかし、完治はしないという現実から、日が経つにつれて友達と会う気分にもなれなくなり、スケジュールが空欄になっていった。 医師からは「家にばかりいない方がいいよ」と言われ、気分転換や運動ができるデイサービスに通うようになった。

⑵ 初めは近い年齢の方がいないことや、一見病気を抱えているようには見えないことで「どこが悪いの?」と言われ、馴染みきれなかった。 それでも、スタッフを含め、話す相手が増えてきたことで通うことが楽しくなってきていた。 そんななか、内服するステロイドの量が増えてしまったことで落ち込んでしまい、デイサービスへ行く気力がなくなってしまった。 「行ったって良くならないでしょう」と悲観的な発言も増えたため、デイサービスを再開できるまで訪問リハビリが開始となった。

⑶ カラカルさんは自宅に引きこもる傾向が強くなっていた。 また、薬の副作用で顔がむくんでしまっていることで友達と連絡も取らなくなっていた。 日によって体調がいい日もあるが、そうでない日もあり、病気や薬によって体調が変化する現状にも嫌悪感を抱いていた。 だから、リハビリがある日に体調が悪いと「休みたい」と連絡がある日も多かった。 そんな日はマッサージを中心に関わり、カラカルさんが思いを話せる空間を作った。


⑷ 徐々に悩みや些細なことを話せるようになったことで「デイサービスにいたあの人、まだ通ってる?」と聞いてくれた。 これまでは自分自身の抱える思いでいっぱいいっぱいになっており、外に気持ちを向けられなかったが、 少しずつTVや新聞に出ている話題を話したりもするようになった。 久しぶりにデイサービスへ行くことは少し抵抗があるようだったが、 仲の良い友達もまだ通っていると分かり「来週行こうかな」と話してくれた。

⑸ デイサービスを再開してから次第に友人との食事やカラオケなどに出かける頻度も増え、 訪問中にデイサービスや外出時の出来事を笑って話してくれるようになった。 一方で「他人の前ではつい元気に振舞ってしまうから疲れが残っているのよね」と話すこともあった。 いまでもカラカルさんとは他愛のないことを楽しく話したり、時には悩み相談を受けながら訪問リハビリを続けている。